* 図書館学古典翻訳セレクション6 * 西田俊子・山本順一監修 藤野寛之翻訳・ 解説
Founding the British Library : Basic Documents
ブリティッシュ・ライブラリー成立関係資料集
■大英博物館図書館の蔵書を引き継ぐ、二十世紀最大とでもいうべきイギリス図書館界の「実験」をあとづける、本邦初の基本資料集成……
1973年に成立したブリティッシュ・ライブラリー(British Library:BL)は,既存の国立図書館数館の合併という,20世紀イギリス図書館界の最大の「実験」であった。大英博物館図書館の蔵書を引き継いだ,世界でも有数な「参考コレクション」の運営,「中央貸出コレクション」の維持,さらに,図書館情報学領域の研究開発への「資金助成」,「全国書誌」の提供,これらの事業をひとつの国家的な組織のもとに束ねたのである。その出発点は『国立図書館委員会報告』(通称「デイントン報告」)による勧告にあった。とはいえ,この国立図書館の本格的な活動のためには新館の建設を待たねばならなかったが,イギリスの経済事情のため,新館の実現には30年近くがかかった。この間にBLは数度にわたる「戦略計画」を策定して,自らの財源の確保による「構造改革」を図っていた。21世紀を前に完成した新館により新たな時代を迎えたこの図書館の成立にいたった理由は何であったのか,成立後の当面の目標は何であったのか,情報化時代における国立図書館のありかたの原点がこれらの資料に示されている。
本書は,『国立図書館委員会報告』およびそれを受けて議会で成立した『ブリティッシュ・ライブラリー白書』および『ブリティッシュ・ライブラリー法』,さらに『戦略計画』数本の翻訳である。翻訳権の許可は既に得ている。『国立図書館委員会報告』は『英国国立図書館委員会報告』として昭和49年に文部省大学学術局情報図書館課から訳文が刊行されているが,この翻訳書は附帯資料を除いた本文のみの翻訳(原書の約半分にあたる)であるため,新たに全訳を試みることとした。
■目次(概要)……
訳者まえがき
第1章 『国立図書館委員会報告(デイントン報告)』
第2章 『ブリティッシュ・ライブラリー白書』
第3章 『ブリティッシュ・ライブラリー法』
第4章 『知識とともに前進――
ブリティッシュ・ライブラリー戦略計画 1985-1990』
第5章 『知識への門戸――
ブリティッシュ・ライブラリー戦略計画 1989-1994』
第6章 『学問・研究・革新――
紀元2000年に向けての戦略目標』
解説
「図書館界に与えたブリティッシュ・ライブラリーの影響」
索引
監 修/西田 俊子(元ブリティッシュ・カウンシル図書館長/東京農業大学教授)
山本 順一(元筑波大学教授/桃山学院大学教授)
翻訳・解説/藤野 寛之(聖トマス大学教員)
造 本―A5判・糸上製函・約600頁
刊行時期ー2010年1月
価 格―35,000円(揃価) ISBN9784907789-73-2