昭和戦後・平成期を歩んだ図書館人の
内発的研究動機からうみだされた成果を集成
「今の、若い職員は、文献疎開の話しや、略奪本のこと、毎週のように川端警察署から行政処分目録が送られてきて、発売頒布禁止図書や、閲覧禁止図書の目録カードをケースから撤去し、現物を特定の鍵のかかる書架にべっちしなければならなかった話など、聞いたり、話したりすることが無いという。
それは関心がないからではない。周囲にそれを知った人が居なければ、全く聞くこともないから、尋ねようという欲求も起らないのだ。筆者に教えて呉れた先輩司書に代わって、筆者自身が語り部にならなければならないと思っている。」(本書より)
目次(抄)
第Ⅰ部 貸本屋史論
一、江戸時代貸本屋略史
二、〈書評〉近世文学史の中に位置づけた貸本屋研究(長友千代治著『近世貸本屋の研究』)
三、〈書評〉柴田光彦編著『大惣蔵書目録と研究―貸本屋大野屋惣兵衛旧蔵書目録―』(日本書誌学大系27(1)(2))
四、京大『大惣本』購入事情の考察
五、〈講演要旨〉江戸時代の貸本屋―大惣を中心として―
六、明治末期高砂周辺の某貸本屋の顧客
第Ⅱ部 新聞縦覧所
七、新聞縦覧所小論
第Ⅲ部 図書館とひとの歴史
八、図書館運動の先駆者としての島文次郎
九、幻の市民公開計画―明治30年の京都帝大図書館―
十、日図研, 34年前の思い出
十一、続京大図書館史こぼれ話 京大草創期、図書館を巡って起こった対立事件
十二、十五年戦争期における京大図書館の史的考察
十三、〈書き下ろし〉私が見聞きした図書館学の先人たち
十四、〈書き下ろし〉京大図書館歴代館員の偉かった人々の伝記
十五、〈書き下ろし〉京大図書館員時代の上司とのエピソード、興味深かった話など
十六、図書館の仕事と貸本屋研究~廣庭基介先生インタビュー
解題
著者あとがき
廣庭基介著/菅修一・堤美智子編
造 本―角背上製/A5判/総384頁
揃 価―24,000円(ISBN 978-4-910998-34-3)