――いわゆる戦時新体制運動の一環として計画・実施された
出版産業の構造改革=「出版新体制」。その要諦は、紙と流
通を統制し、物資と情報の両面から出版活動をコントロール
することであった。その目的のために1940年日本出版文化協
会、41年日本出版配給が設立。
「出版新体制」下の図書推薦事業は、編集・流通・読者まで
を広く視野に入れ、これまでの文部省などの推薦とは異なる
理念をもつ活動であったといえる。
図書推薦事業には国策会社としての使命遂行のため宣伝に多
大な費用と労力がつぎこまれ、本目録は毎回16~19万部発行、
内地はもちろん朝鮮・満洲などの外地にも頒布された。
後に岡野他家夫は「必ずしも軍や政府の御用向の図書のみが
候補にのぼるということはなかった」と言い、戦時期出版史
の「功績の一つ」(『日本出版文化史』(原書房、1981年))
と評価した。