カストリ新聞は「その場限り」の「低俗」な
娯楽読物であり、定期刊行物として図書館が
保存対象とするものであはなかった。
一般書店に並ぶことはなく、露店や駅の簡易スタンドで売りさばかれ、
全国の好事家に郵便発送されるという流通形態をとった。
カストリ新聞はその多くが戦後成金や山師たちが
資金を出して一攫千金をもくろんだものだが、
現場の編集や記事執筆はインテリ層人材が担当し、
一時的ではあるが全国で膨大な部数を売り切っていた。
戦後の混乱期、日本人にとってカストリ新聞のエログロが
甘美な媚薬となっていたであろうことは、
その販売部数からもあきらかである。
だが、『探偵新聞』に限っていうと
他のカストリ新聞にみられる「猥褻」な記事はほとんどなく、
読物も純然たる推理ものばかりである。
『探偵新聞』の最大の特徴は江戸川乱歩をはじめとする
日本探偵作家クラブの会員が積極的に記事を投稿したり
取材に答えたりして協力体制を築くとともに、
警察側からもふんだんな資料提供をしてもらい、
まるで探偵小説作家と警察とを橋渡しする媒体としての
役割を担っていることである。
監修・解題―石川 巧(立教大学)
推 薦―成田 龍一/ 山前 譲
資 料 提 供―立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター/
ミステリー文学資料館(一般財団法人光文文化財団)
造 本―A4/A5判 並製・総302頁
価 格―19,500円(別冊のみ分売可1,500円)
刊 記―2021年5月 ISBN978-4-910363-32-5
―収録資料―
【一巻】(228頁)
『探偵新聞』1~55号
(探偵新聞社、1947年7月20日~1949年3月25日)※35号欠
【別冊】(74頁)ISBN978-4-910363-33-2
*解題・総目次、推薦文